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淡く思春期
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会社の飲み会が終わると、まっすぐ帰ってきて資格試験の勉強をする筈だった。

筈だったが、気がつくとロフトでかわいい文具を眺めてうっとりしていた。

八時前に帰宅し、スーツを脱ぎ捨てたら直ぐにでも机に噛り付いて勉強をする筈だった。
気がつくとあずまんが大王を読み返してにやにやしていた。
この間神奈川に行ったときに買ってきたお土産のロールケーキを頬張っていた。
ももいろクローバーの動画をパソコンの動画サイトで見てときめいていた。
高城れにちゃん(※1)の奇行を見て生き方のヒントみたいなものを感じていた。

気がつくと布団の中でラジオを聴いていた。
月曜日の深夜は教祖様(※2)が番組をやっているので、必ずラジオを聴くのだった。
今週の教祖様は、左奥歯が腫れてしまって話しにくいと仰っていた。

私は驚いた。
何故ならその時、私もちょうど左奥歯が腫れて眠れない状態だった。
やはり教祖様は、全てをお見通しなのだと思った。
だから、ラジオが始まる直前までちゃんと勉強をしていましたよ、という雰囲気を醸し出すのをやめた。

翌朝起きて、ラジオを録音したのを聞き返そうとしたが、何故か録音に失敗していて、MDには何も記録されていなかった。
罰が当たったのだと思った。


※1 高城れにちゃん
私がいま一番週末に会いたい紫色のアイドル。たまに挙動がおかしいところが魅力。

※2 教祖様
高校を中退して、オペラ歌手、落語家などを経て現在ラジオパーソナリティとして活躍している偉人。わたしは中学生時代、友人に勧められた教祖様のラジオをきっかけに入信し、それ以来カセットテープやらMDに録音しながら拝聴している。

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引っ越した。
実家を出て自立したとかではない。
資格試験の勉強をしなきゃないのについついプレステをやってしまうような人間が、一人暮らしなぞできる筈がなかろう。
部屋を移動したのだった。

私が、部屋が汚ないのは部屋が狭いせいであり、部屋が狭い主たる原因は部屋の半分を占領しているベットである、というような滅茶苦茶な理屈で母親に辛くあたったところ、私の部屋の隣、つまりは既に実家をでている私の弟の部屋はベットが壊れているから、それを捨てるついでにそっちに移り住みなさいと呆れた顔で提案されたのであった。

その日一日かけて部屋の大掃除をし、 家族総出で部屋の大移動を行った。
途中、隠していた猥褻な本やら壁の穴やらが両親にバレたりしたが、なんとか引越しを済ませる。
それで今日から念願の布団生活である。
この生活スタイルには理由があった。
私は隙があれば少しでも惰眠を貪りたいと考える根っからの環境型省エネ人間なので、気がつくとベットで横になって朝を迎えていたという体験が非常に多い。
そこで布団なら、眠るという意思のもとに寝具を広げなければならないので、それすらも面倒臭い私の惰眠癖を何とか阻止できるのではないかと考えたのである。

この実験結果は随時報告していきたい。
ただ初日から既に布団をあげるのが面倒臭くなっているという経過報告はしておかなければなるまい。

どんと来い、万年床。
睡眠欲にすら勝てなくなった今の私に、恐れるものなどもう何もないのである。

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病院へ行くため、地下鉄の駅に並ぶ
→電車が到着する直前に急に猛烈な便意に襲われる
→最寄りのトイレを探すが「化粧室120m先」の文字
→脂汗をかきながら何とかトイレに辿り着くも、個室に紙が無く、入り口でポケットティシュを販売しているタイプのトイレ
→ポケットティシュが50円で、しかも十円玉しか入らない販売機で、慌てて財布の中身を探るが十円玉がまんまと4枚しかない
→何とか小銭を崩そうと自動販売機を見つけ、飲みたくもない缶コーヒーを買おうと200円を入れる
→百円玉が何度いれても戻ってくる
→ようやくお金が入って缶コーヒー、もといお釣りの10円玉を手に入れる
→急いでトイレに戻る
→さっきまで空いてた個室が二つとも閉まっている

ピタッゴラッスイッチ♪

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約1年ぶりに実家に帰ってきた。
1年も時間が空くと、いろんなものが変わってしまっていて驚く。

まず羽田空港に、いちばん最近利用したときには無かった国際線ができていた。
飛行機で隣の席に若い女性が座ったけれど、そわそわしなかった。
新千歳空港まで迎えに来てくれた父親が白髪になっていた。
新千歳空港の駐車場が綺麗に改装されていた。
受付のお姉さんと領収書の宛名のやり取りが、スマートにできるようになった。
近所の床屋やらガソリンスタンドが潰れていた。
母親が特に変わってなかった。
犬が私を見ても噛み付いてこなくなった。
新聞の折込ちらしを積極的に読むようになった。
祖父の口数が減っていた。
祖母が思ったより元気そうだった。
ゴミ袋が有料になっていた。
父親と酒が飲めるようになっていた。
高校のジャージで宅急便を受け取ることに恥ずかしさがなくなった。

私が気付いていないだけで、変化はまだまだあるのだろう。
ここに帰ってくると、そんな風に自然と過去を振り返ってしまう。
けれど、これからはここで再び人生を歩んでゆくのだから、後ろは振り返らないと決意した。
ベットの下で見つけた、高校の修学旅行の写真で、色んな嫌な思い出が蘇って心がずたずたになったから。
さようなら、僕の青春時代。
さようなら、大場さん。

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